みなさんこんにちは、矯正歯科医の槇本です。
今回は矯正の初診相談で多くみられる、乳歯の反対咬合について治療の時期、治療方法などについてお伝えしたいと思います。
お子さんがいらっしゃるご両親は、3歳児歯科健診で反対咬合と言われると心配になり、「反対咬合は、乳歯の時に治したほうがいいですか?」とご来院されます。
結論から言いますと、私は乳歯の間に治療すべきと思っています。乳歯で反対咬合の場合は、永久歯も反対になる場合が多いのですが、乳歯の時期に一度治ると、永久歯が正常咬合になる可能性が高いためです。また、乳歯期に用いる装置はとてもシンプルで、お子さんにかかる負担が少ないため、大変な思いをせずに治療することができます。
代表的な治療装置には、MUH Shield®︎というものがあります。MUH Shield®︎は、上口唇圧を排除し口唇圧のバランスを整えます。また、低位舌を改善することで舌を高位で機能させ、逆被蓋の改善を促します。リップシールドと、舌挙上部が主に治療機能を担っています。
反対咬合の原因は、①骨格性反対咬合、②歯性反対咬合、③その混合が挙げられます。
①が原因の場合は、一度治ってもまた反対咬合になる可能性があります。②の場合は、乳歯期のうちに治すことで再発の可能性は少ないと言われています。①の場合でも、一度治療して改善することで将来反対咬合になる確率を下げることができれば、治療するに越したことはありません。
①の場合、もし成長期に治療しないのであれば、18歳以上になって外科手術を伴う矯正治療で改善します。
乳歯期のMUH Shield®︎による治療の注意点としては、将来的に反対咬合になる可能性は完全になくなるということではないため、改善後も年一、二回の経過観察を続けること、また、万が一反対咬合になってきたら、治療した病院で再相談を行い、適切な治療を行うことです。
医療に「絶対」ということはないため、「絶対治ります」と言い切れないのはもどかしいのですが、日進月歩の医療知識を少しでも多く取り入れ、患者様により良い医療を提供していきたいと思います。