こんにちは、矯正担当医の槇本です。
矯正治療は、他の歯科治療(むし歯治療や、歯周治療など)よりも治療期間が長いため、気軽に開始しにくい、矯正治療を速く進めたいけど方法はないだろうか、と悩んでおられる方は多いと思います。
今回は、現時点において矯正治療を速くする方法:①微細振動付与装置、②外科治療である歯槽骨皮質骨切術、について紹介したいと思います。ぜひご参考ください。
これらの方法の共通点は、歯の周囲のあごの骨の新陳代謝を促進していく、ということです。
①微細振動付与装置
超音波パルスや、近赤外線を骨折部に照射することで、骨密度が高まったり治療期間が短くなることが報告されています。超音波パルスは、すでに骨折治療などでは臨床応用されています。
そのメカニズムとしては、歯に矯正力をかけると歯根膜に炎症反応が生じ、その結果、発痛物質が放出されながら歯の移動が始まります。超音波パルス、近赤外線はその発痛物質の代謝(消失)を促進し、矯正治療中の痛みの減弱・改善に役立ちます。 また血流・血行の改善、骨のリモデリングに対しても効果を認め、歯の周囲骨の代謝を促進し、歯の移動を早める効果があります。
②歯槽骨皮質骨切術(コルチコトミー)
古くから、骨組織に適切なメカニカルストレスがかかることによって骨形成が促進されることが知られています。コルチコトミーとは、通常の矯正器具に加えて外科的な処置(歯肉を切開してめくり、歯槽骨に切り込みを入れる)です。一度切られた骨は自然治癒の力で手術前よりも丈夫になるという性質を生かした治療になります。
コルチコトミーは歴史が長い治療のため、多くの研究がなされています。例えば、上顎両側第一小臼歯を抜歯した症例では、外科処置を行った群は対照群よりも抜歯後28日間において
・犬歯の移動量は2.3倍に増加
・破骨細胞数は1.4倍に増加
・新生骨量は1.7倍に増加
という報告があります。
デメリットとしては、歯肉を切開して、骨を削るため、術後の腫れ・痛みが生じます。
それに対し、①微細振動付与装置は、まだ歴史が浅い治療のため、治療の科学的根拠となる信頼性の高い研究はまだ不十分と見なされています。しかし、微細振動付与装置はPbM Healing ®️に代表されるように、使用方法は患者様が毎日ご自宅で一定時間、お口にくわえていただくという侵襲性が少ないものになるため、副作用もなく、痛みも伴いません。
当院では、②の装置を用いたインビザライン治療を行うことができます。矯正治療を開始する際は、患者様の咬合状態、骨状態など、様々な点から分析し、最適となる方法をご提案いたします。ご興味がありましたら、ぜひホームページや、お電話から無料相談をご予約されてみて下さい。お待ちしております。