親知らずを抜く必要がありますか?
南千住小児歯科矯正歯科では、大学病院から口腔外科の先生を第2、4日曜日の午後に来て頂いてます。難しい抜歯でも当院で可能です。
歯科用語で、第三大臼歯と言います。下のパノラマレントゲンで赤丸で囲んだ歯です。親知らず、英語ではwisdom tooth 知恵の歯で、日本語では智歯とも言います。
上下顎左右に各一本ずつ、計4本ある事が多いです。最近では、親知らずがないお子様もいらっしゃいます。4本ある親知らずのうち、30%の人が1本以上先天的に欠如しています。
親知らずは、一般的には20歳から30歳の間に萌出してくる事が多いです。
ただ、萌出する場合と歯槽骨の中で留まってしまう場合もあり、完全に留まってしまう場合を完全埋伏歯、少し見えている場合を半埋伏歯といいます。
親知らずは、原始人の頃にはまっすぐ萌出し機能していたそうです。食生活の変化により、現在では、顎が小さくなり、歯の大きさはそれほど小さくなっていない為、最後に萌出する親知らずはスペースがなく、斜めや水平に向いてしまうため、前の歯にぶつかってしまい、萌出しなくなってしまいました。
親知らずは抜いた方がいいのですか?
患者様の親知らずの状態によります。
メリット・デメリットを考え、メリットが大きい場合には、抜歯をお勧めします。
少なくとも、完全埋伏歯で一度も痛み出たことがない場合は、抜歯する必要はないと思います。
一度痛みが出た事がある女性の場合には、妊娠中に痛みが出ると、レントゲン撮影や薬の投与ができず、抜歯せず我慢して頂くしかないので、早期に抜歯された方がよろしいかと思います。
親知らずが引き起こすトラブルにはどういうものがありますか?
智歯周囲炎
下図の8で示す位置にある親知らずは、口の中の一番奥の目に見えないような場所にあります。歯ブラシが難しいので汚れが溜まりやすく、周囲の歯肉に炎症を起こします。智歯周囲炎と言い、慢性炎症なので、痛みが引いても体調が悪くなると、再び痛みが出ます。
虫歯
歯ブラシが難しく、◯の部分に汚れが溜まり、虫歯になりやすいです。虫歯になるのが親知らずだけならいいのですが、困ったことに、手前の第二大臼歯にも、虫歯を作ってしまう事があります。第二大臼歯の虫歯の治療は難しく、また、治療後には、保険診療の場合、銀歯になってしまう事が多いです。
歯列不正
横向きに埋まった親知らずが前の歯を押すため、歯並びが悪くなることがあります。矯正治療終了後の患者様には、比較的早期に親知らずの抜歯をされる事をお勧めします。
親知らずを抜くのは大変ですか?
親知らずの抜歯は、普通の抜歯に比べて難しいです。
基本的には、普通の歯科医院で抜歯する事ができます。ただ、難しい抜歯の場合、大学病院を紹介される事が多いです。
大学病院では、入院して全身麻酔で行う場合もあります。
親知らずはどのようにして抜歯するのですか?
①局所麻酔をします。
②歯肉粘膜を切開剥離します。
③ドリルで骨を削ります。
④ドリルで歯を分割します。
⑤摘出します。
⑥歯を摘出した穴には抗生剤と止血剤を填入します。
⑦縫合します。
親知らずを抜く上でのデメリットはありますか?
下の親知らずの抜歯時に生じうるデメリット
神経の麻痺
下顎骨の中央に下歯槽菅があり、そこには、下歯槽神経が通っています。下顎の親知らずの抜歯のリスクとして最も高いのがこの神経の麻痺です。これは、親知らずの根がこの神経と近接あるいは接触しているために発生します。また、オトガイ部や下唇が麻痺する場合があります。舌の場合には、味覚障害も出現します。これらの麻痺は基本的には自然治癒しますが、治癒するのに1~2年かかる場合もあります。
上の親知らずの抜歯時に生じうるデメリット
上顎洞との交通
上顎洞(上図の赤い線の上)は、副鼻腔炎により膿が溜まるところです。
上顎の親知らずの抜歯後に、歯を抜いたあとの穴と上顎洞(上図の赤い線が上顎洞の壁)が交通し、上顎洞を間にして口腔と鼻腔がつながってしまいます。歯が原因の上顎洞炎を歯性上顎洞炎と言い、いわゆる蓄膿症の一種です。そのため症状としては、炎症が生じている上顎洞の痛み(頬の痛み)や悪臭を伴う鼻水、鼻閉感などがあります。自然に閉鎖します。
出血
下歯槽菅の中には、太い血管、下歯槽動脈が通っています。親知らずの根がこの血管と接触している場合、抜歯の最中にこの血管が傷ついて多量の出血が生じる場合があります。ただ、時間が経てば、血が止まり止まりますので安心してください。
親知らずを抜く前の注意は?
体調を整えて来院してください。食事を、早めに食べて来院してください。術後、麻酔が効いているので、しばらく食べられません。
親知らずを抜いた後の注意は?
①2〜3時間程度は、麻酔が効いて、唇や舌が痺れていますので、熱いものを飲んで火傷したり、くちびるやほっぺたを噛んだりしないよう注意して下さい。
②入浴、飲酒、運動はされないで下さい。抜歯後一旦は止血しても、これらのことを行いますと、血圧の上昇が起こり、出血する場合があります。入浴はシャワー程度なら構いません。お食事は手術後3~4時間してからしてください。
③傷口を指や舌などでさわらないでください。
出血
止血のためにガーゼを、20分以上しっかり咬んでください。その後は捨ててください。その後も出血が続くようでしたら、再度新しいガーゼを30分から強く咬んで様子をみてください。抜歯の翌日くらいまでは少量の血液が唾液に混じって出ますが、異常ではありません。血が出るのを気にして何回も唾液をはいたりうがいをしたりしますと出血しますので注意してください。
腫れや痛み
親知らずの抜歯後は2~3日かなり顔が腫れます。腫れのピークは抜歯直後ではなく、3日目です。冷やすと血行が悪くなり、治癒が遅れます。麻酔がきれて痛みが我慢できないようでしたら、痛み止め(鎮痛剤)を飲んで下さい。
薬
抗生物質などが処方されますので、痛みや腫れがなくても安心せず、指示通り服用して下さい。
感染して、化膿するのを防ぐために、抗生物質は飲み切って下さい。
食事
食事の際は、抜歯部位を刺激しないように注意して下さい。
刺激が強い食べ物や飲み物も控えて下さい。
歯磨き
抜歯当日は歯磨きはせず、うがいのみにしてください。必要異常にうがいをしないで下さい。出血が止まらなくなります。翌日からは歯磨きを行って構いませんが、抜歯部は傷がありますので1週間以上避けてください。
糸の脱離
術後3日目以降であれば、たとえ糸が取れても傷口が開くことはありませんので心配はいりません。とくに連絡の必要もありません。
何日位で治癒しますか?
腫れ
抜歯後1日目に腫れてきます。3日目が一番腫れ、その後は徐々に引いていき、1週間から10日かけて消失します。
痛み
術後2〜3時間で麻酔が薄れ始め、痛みが出ます。
完全に痛みが失くなるには、1週間から10日を要します。
出血
術後1~2日は唾液の中に血が混じってでます。
起床時に、枕に血が付いてても心配されないでください。
内出血
内出血を生じる場合があります。黄色になって拡散し、2週間ほどで消失します。頬の内出血は、青色ではなく、黄色になります。
開口障害
術後は痛みがあるため、数日間、口が開けづらくなります。
ドライソケット
抜歯後、歯を抜いた穴は血の塊りで満たされます。しかし、これが十分に形成されなかったり、うがいのし過ぎて、脱落したりしますと、歯槽骨が露出し、強い痛みを伴います。治癒するまで2週間近くかかります。
傷口は約1週間で治癒しますので、その頃抜糸を行います。しかし、それで完全に治癒したわけではありません。表面の歯肉が盛り上がるのに1か月、骨まで完全に治癒するのに3か月以上かかります。治癒するまでの間、抜歯窩に食片がつまることがありますが、治癒とともに押し出されますので心配いりません。
まとめ
完全に骨の中に埋まっていれば問題ありませんが、成人する頃に一部頭を出します。その場合、歯肉に炎症が起きやすくなり、ひどい場合には、化膿して痛みます。これが、智歯周囲炎です。
また、歯ブラシが届かないので、埋もれた状態で虫歯になったりもします。、その前の歯にも虫歯ができます。
悪い影響が出る前に、18歳前後での抜歯をお勧めしています。まだ、はえていない骨の中の歯を抜くのですから、100パーセント安全というわけではありません。リスクを伴いますので、絶対に抜歯しなければいけない、治療ではありません。
上の親知らずは、下ほど問題を起こしません。しかし、下の親知らずがない場合、かみ合う歯がないために、下に伸びてきてしまい、下の歯肉をかんだり、かみ合わせがずれたりします。一般的には、上の親知らずは簡単に抜けますので、下の親知らずを抜く時に、一緒に抜く事が多いです。
ただ、親知らずは、将来、歯の移植に使える場合もありますので、抜歯をされた方が良いかは、ご相談ください。メリット・デメリットをご説明致します。
荒川区南千住駅の矯正歯科医院|南千住小児歯科矯正歯科
日付: 2019年1月4日 カテゴリ:医院Blog, 矯正治療関連