こんにちは、南千住小児歯科矯正歯科の矯正担当槇本です。本日も、当院で矯正治療を終えた患者様の治療について紹介いたします。
患者様は初診時8歳7か月の男子、主訴「前歯の反対とガタガタ」でした。
口腔内写真:
上下顎両側1、2番が反対咬合になっていますね。側貌はStraight typeで、家族歴では反対咬合はありませんでした。また、側面頭部セファロ分析においてはANBは-1S.D.となっており、下顎骨の前方位が認められました。上顎前歯歯軸は舌側に傾斜していました。
以上の点から、治療計画はチンキャップ下で顎骨の過成長を抑えつつ、Posterior bite plateで上顎前歯の歯軸の改善を行い、反対咬合を改善することといたしました。
反対咬合でとても注意すべき点として、家族歴が無くても下顎骨の過成長により、外科矯正が必要なほどの下顎前突となる可能性があることです。とても難しいですが、その判断材料として家族歴、側面頭部セファロでの上顎骨、下顎骨の状態、年齢が主に上げられます。今回は家族歴がなく、セファロ分析においても下顎前方位は軽度のため、治療を開始することとしましたが、それでも患者様、ご家族には将来的に外科矯正になる可能性があることを説明し、ご了承いただいた上で治療開始となりました。
治療経過です。Posterior bite plate、チンキャップを用い5カ月後に前歯被蓋関係が改善しました。
咬合面での装置の写真は、Posterior bite plateです。咬合挙上しつつ、前歯を押すため反対咬合によく使われる装置になります。
その後、上顎両側2番もPosterior bite plateを用いて押しつつ、チンキャップは継続して使っていました。
治療開始から1年後に上顎前歯にマルチブラケット装置を装着し、歯の配列を行いました。
その後1年3カ月で上顎前歯は排列完了し、被蓋関係も良好なためfixを装着して保定を開始しました。ただし、下顎骨の成長はまだ止まっていないためチンシャップを継続しております。
現在もチンキャップを用いて経過観察中ですが、咬合関係がよくなったことから患者さまの装置使用のモチベーションが下がることがよくあります。モチベーション維持のためには、患者さまとご家族の方によくよく下顎骨成長の可能性を話し、理解して頂くことが重要になってきます。今後は側方歯交換を観察し、必要に応じてマルチブラケット装置での治療に移りたいと考えています。
反対咬合は、叢生に続いて主訴として患者さまが多く来院されている症例になります。ぜひ、このブログが治療前後のイメージに役に立てれば幸いです。このほかにもいろいろな症例がありますので、引き続き今後も紹介していきたいと思います。
日付: 2020年4月16日 カテゴリ:医院Blog, 未分類, 矯正装置 and tagged 反対咬合、posterior bite plate、チンキャップ、I期治療