東京都荒川区南千住4-7-1 BiVi南千住2階 南千住駅すぐの矯正歯科
矯正治療が上手く行くかどうかは、患者様にとって「人生が変わる」と言っても過言ではないと考えています。
当初2ページほど書こうと思ってましたが、書き始めたら、長文になってしまい、読みづらくなってしまいました。ご興味がございましたら、ご参考にされてみて下さい。
患者様は、他院でも、ご相談を受けられています。
実際、様々なご質問があります。「他の医院では、こう言われた」「他の医院では、もっと治療費が高かった、安かった」など、他院のご相談に関しては、肯定も否定もできません。歯科医師の立場から申し上げると、その先生の治療方法であったり、その医院経営・治療内容の為の適正な治療費だと考えるからです。
ただ、矯正治療は、治療期間が長く、治療費も安くはありません。また、一度契約して、治療が始まってしまえば、相談・検査・診断の時には対応が良かったのに、治療が期待と違っても、他の歯科治療のように、費用の点から別の医院に変更しづらい治療です。
実際に、矯正を行われた患者さんのなかには
「イメージと違う歯並びになった」
「治療が終わらず、費用ばかりかかる」
「忙しく、説明がなかった」
「通院している医院が潰れてしまった」
など矯正治療中の患者様も相談にいらっしゃいます。しかも治療が始まって2年近く経ってからです。
どの矯正医院で治療をされるかは、とても重要です。ネットにも、沢山の情報があり、それらの条件全てに当てはまる矯正医院はないとは思います。
長年矯正治療を行ってきた私が考える「矯正歯科の選び方」をお伝えさせて下さい。
矯正治療において、私が考える良い矯正医院の条件で最も重要なのは
これに限ります。ある程度の矯正治療の知識と技術を身に付けていれば、手を抜かずに来院時にできるだけの治療をする熱意を持っている歯科医師の方が、明らかに綺麗に治ります。その為には、治療の前後の準備も必要です。定期的に写真・レントゲンを撮り、治療の前後にそれらを見て、カルテをチェックして、治療の流れ・期間が伸びていないか、患者様が来院された治療の時間以外(治療後・休日)も治療を検討しています。スポーツや勉強では、試合や試験当日の為に練習や予習復習をするのと同様です。
患者様が来院された時に、お口を見て治療する「いきあたりばったり治療」では上手くは治りません。
さらに、重要なのは次の2点だと思います。
矯正医は相談時にご記入して頂いた問診票を読み、それを元にご相談します。基本的には、問診票に記入した主訴を改善する為の矯正治療計画を考えます。患者様の骨格・歯の大きさ・顎の大きさ・上下顎の位置など歯並びを改善する上で、様々な要因を考慮する必要があり、100%患者様のご希望通りになるとは限りません。従って、相談・検査・診断を行い、患者様のご希望を可能な限りお聞きして、できる所とできない所をしっかりお伝えして、その上で診療をされるかされないかご判断される様にする必要があります。
私としては、極端な話、矯正医として全てにおいて納得した治療よりも、患者様が大満足した治療の方が上手い矯正治療とも思っています。
実は、この治療期間・治療費がトラブルになる事が1番かもしれません。最初に説明をされた期間を超えても終わりが見えず、また、一般的に一回の治療毎に調整料(3,000~6,000円)がかかる矯正医院が多く、治療が延びれば、当初のご説明以上に治療費がかかってしまいます。患者様は内心そのように思っていても、なかなか口には出せず、不満が溜まります。
良い医院では、治療期間・治療費もきっちり管理していて、患者様が不安になる前に、治療が伸びる場合には説明があります。例えば、治療費を分割払いされる患者様は多いですが、いつお支払いされ、残金はいくら残っているか、受付で聞いても即答できる矯正医院の方が安心だと思いませんか。
治療費が不安な方は、「トータルフィー」という治療費の制度を導入している矯正医院があります。これは、治療が始まって終わるまで総額の治療費で、毎回の調整料の支払いがありません。ただし、やや高めの治療費に設定してある矯正医院がほとんどです。
ホームページを閲覧して、相談に行き、これら全てを相談の30分で判断するのは難しいと思います。
では、私が矯正医ではなく、患者さんとして矯正医院を選ぶとすれば、どのように判断するかのポイントは、以下の16点(⑤〜⑲)です。
④ 矯正専門の医院(矯正医が常勤)で、診療日が週5日以上ある。
⑤ 治療方法がマウスピース矯正のみの矯正医院ではない。
⑥ ホームページ(インスタ)に症例写真が沢山ある。
⑦ ホームページに治療費数千円~、数万円~など安い分割払いなどが大きく書かれている医院ではない。
⑧ 通院が30分以内である。
⑨ コミニュケーションが取れる。
⑩ 常勤の衛生士さんが3人以上いる。
⑪ 資料、契約書がある。
⑫ 治療費が適正な範囲内である。
⑬ 数ヶ月おきに写真、一年おきにレントゲンを撮っている。
⑭ 紹介可能な一般歯科医院がある。
⑮ 矯正治療でできる事、できない事(リスク)の説明がある。
以下は、必ずしも重要ではないですが、私が考えて治療・医院経営を行なっている事です。
⑯ 常勤の矯正医が2人以上いる。
⑰ 多店舗展開していない。
⑱ 予約の治療時間を30分確保して、無理に患者さんの予約を取らない。
⑲ 保定(矯正治療後に後戻りをしない為の装置)に、歯の裏側に針金を貼る。
4~8は、ホームページで判断できます。
これらが大丈夫なら、ご相談の予約を取られて良いと思います。
1~3と9~19は、ご相談に行かれてみないとわかりません。
ご興味がある方は、それぞれについて詳しくご説明しますので、一読されて下さい。
普段、歯のクリーニングや虫歯治療を行なっている歯科医院に、月に1~3回バイトの矯正医が来ている医院で矯正治療をされるのは論外です。 通院されている信用できる先生の医院に来ている矯正医なので、安心されて治療を始められるお気持ちはわかりますが、後述する様に、治療の良し悪しは一般の先生ではわかりません。また、どんなに上手い矯正医でも月数回の治療日では本来の治療技術は出せません。装置が壊れたり外れたりした時の対応が直ぐには出来ず、痛みを我慢したり治療期間が延びる傾向があります。予約も取りづらいです。その矯正医が、医院に勤務し続ける確率はかなり低いのも問題です。
同様に大学病院で矯正治療を始められるのもお勧めできません。私が矯正治療を学んだ東京医科歯科大学矯正科は、平日の9:00~15:30までしか治療をしていませんでした。(日本中の国立大学は同じです)学校や会社を休んでいらっしゃる患者さんが多かったです。学生の場合、担任の先生によって矯正治療の通院での遅刻を認めず(遅刻扱い)苦労されていらっしゃる患者さんもいらっしゃいました。内申書も心配されてました。矯正の担当医も年毎に診療日が変わる事もあり、また、毎日は治療していません。通常、1日と午前中のみの3コマで、しかも公務員なので、祝日の振替診療日はなく、休みも取らないといけないので患者さんにご迷惑をおかけした記憶があります。30代半ばで退職する人が多く、担当医が何度も変わる患者様もいらっしゃいました。
ちなみに、私の知る限りでは、裏側矯正・マウスピース矯正を行っている国立の大学病院矯正科はありません。
「選び方」によく「認定医」が良いと記載されている事が多いです。確かに認定医を取得する為には、一般的には、大学病院の矯正科に少なくとも6年は残らないと取得できませんので、一つの判断基準になります。私も認定医を取得する為に大学病院に6年在籍しました。更新はしていません。
大学病院の矯正科では最初の2年間は、針金(ワイヤー)を曲げたり、模型を作ったり、検査の分析・診断・治療計画を立て先輩と相談したり、先輩の治療補助をしたり、本当に矯正漬けの毎日でした。3年目からは研究が主になり、大学院を卒業すると事務仕事(学生講義・実習の準備、新入医局院の教育の補助、診療、医局のセミナーなどが仕事でした。教育に携われた事により、自分の知識・技術の不明瞭な点がわかった事は良かったです。従って、矯正医としての知識・技術が伸びたのは当初の2年だと思っています。その後は、大学病院を退職してから色々なセミナーに参加して知識・技術を磨いてきました。
大学の矯正科に残らず、認定医も取得せず、治療が上手な矯正医も沢山いるのは事実です。普通に考えて、矯正の技術に自信がない矯正医が矯正医院を開業はしないので、「認定医」は矯正医院を探す一つの判断材料にはなりますが、絶対条件ではないと思います。
歯学博士の有無は治療の優劣には全く関係ありません。同様に学歴も関係ないと思います。
マウスピース矯正は良い方法ですが、歴史が浅く治療方法が十分には確立されていません。約8年前ぐらいから日本で導入され、当院では開業当初(約6年半前)から治療を行い、500症例を超えました。歯を並べるだけなら簡単ですが、噛み合わせをしっかりさせるには、マウスピースだけの治療ではとても難しく、一般的なブラケットを併用する事もあります。従って、表側矯正や裏側矯正の技術を習得していない矯正医が、マウスピース矯正を行うのはリスクがあると思います。
最近では、表側矯正と裏側矯正を学んでいない歯科医師が、数回の講習会に行き、片手間にされる事も多いのが事実です。
マウスピース矯正のみの医院では、治療費が安価である事が多く、そこで治療を始められる患者様が一定数いらっしゃいますが、予想通りに歯が動かない場合どのように対応されているのか心配です。
私には歯学部の同級生が55人、大学病院の矯正科に入局してから350人ほどの歯科医師と接する機会がありましたが、正直申し上げて、誰が治療が上手いのか、全くわかりません。なぜなら、その歯科医師の治療を見た事がほとんどないからです。矯正科にいれば、毎週セミナーがあったり、学会に行く機会も多く、矯正医の治療を発表で見る機会があります。ただ、上手く治療できた症例やとても難しい症例を発表するので、全体的な治療はわからないのが本音です。
唯一判断できるのは、50人以上の治療前後の写真を見ればわかります。ホームページやインスタに治療前後の写真を沢山挙げていて、綺麗に治ってれば、その先生は上手いはずです。(インビザラインのクリンチェックの前後を載せる医院もあるので注意して下さい)
クリンチェック
矯正治療は高額な為、分割払いできる医院は良いのですが、一般的にはローンを組んで頂き、治療を始めてもらう医院が多いです。その場合、一般的には6パーセントの利子が付く為、総額の治療費が高くなります。
院内の分割払いですと、無金利が多いので、総支払額は変わりません。
「お試しマウスピース2万円から」など、安価な治療費を広告で謳って集客をする医院もありますが、実際は治療費が高額になってしまう事も多いので、ご注意下さい。
当院としては、もちろん遠方からいらっしゃって頂けるのは嬉しいです。
ただ、矯正治療は、長期間かかります。当院の患者さんで平均すると35回は通院して頂いてます。30分x35回 計1050分 17時間30分通院にかかる時間になります。また、矯正治療には、装置が外れた、壊れた、入らないなどトラブルはどうしても避けられず、急な通院も付き物です。交通費もかかります。
矯正治療終了後も、後戻りをしないよう保定装置を使用して頂き、定期検診に半年おきに通院が必要ですが、遠方から来院される患者様は、定期検診にいらっしゃらなくなる傾向があります。
小学生の場合、付き添いが必要な事が多く、遠方から来院して頂くのは大変だと思ってしまいます。
患者さんにとっての医院に対する善し悪しは、感じ方や評価が様々です。
以下の2例は、私からすると、とても矯正治療が上手な矯正医ですが、口コミには、こんな内容が書かれています。実際、2院ともとても患者さんは多く評判も良いのですが、一部の患者様には以下の様に評価されてしまいます。
相談で伺いましたが、後悔しました。私のように話が苦手な人には合わないかもしれません。
先生は高圧的で、タメ口で話します。親しみやすい雰囲気であれば敬語でなくても気になりませんが、威圧感が不快です。 問診票を読んでいないのか、記入した内容と同じことを聞かれます。
衛生士さんは親切でしたが、先生とは二度と話したくないので他の医院に行きます。
電話対応が最悪です。人によるのでしょうが、まず名乗りませんし融通もききません。こんなに対応が悪いのは初めてで驚きしました。
A、B矯正医院の院長は技術的には、私からみて素晴らしいです。しかし、患者様は、技術だけではなく、院長の性格、歯科衛生士・受付の対応も求められますので、医院のチームワークが整った医院が良いと思います。ちなみに、当院の受付は、患者様対応・電話対応・カルテ、治療費、予約管理・技工物管理等においてとても優秀だと思っています。ただ、お電話を頂いた時に、出るのが遅い・保留の時間が長いのは、どの歯科医院においても避けがたい事(歯科医院特有な事情)なのでお許し頂ければと思います。
歯科医師だけでは、良い治療はできません。
よく訓練された歯科衛生士が常勤しているのはとても大切です。当院の歯科衛生士は、技術的には3年間矯正治療を学んだ歯科医師同等の実力はあると思っています。
当院では、全ての治療を矯正医が行っていません。可逆的な治療(ワイヤーを外すなど)は歯科衛生士が行っています。もちろん、装置を付けたり、ワイヤーを曲げたり治療において重要な部分は矯正医が行います。全ての治療を院長が行う医院も、数は少ないですがあります。ただ、予約が取りづらかったり、スタッフが定着しない(一日中アシストは辛い理由から退職)傾向があります。
後述しますが、治療中にスタッフが撮影する写真は、診療終了後にチェックして、治療が順調に進んでいるか、次回の治療で何を行うかカルテに記入して、治療がスムーズに進むようにしています。
歯科衛生士の人数は、治療の椅子ー1は最低勤務していると良い治療ができると考えています。例えば、当院では椅子が5台ありますので、常勤の歯科衛生士が最低4人は必要です。当院では常勤で5人(産休で1人不在ですので、実際は6人)います。歯科衛生士が治療の補助をする事で、患者さんが治療を受ける時間は確実に短くなりますし、治療は上手く進みます。余談ですが、歯科衛生士の求人倍率は20倍で、しかも矯正治療ができる歯科衛生士はとても少ないので、雇用は大変です。
さらに治療の補助だけではなく、材料や資料や技工物の管理等も行います。もちろん、矯正医も行いますが、チームとして行う事で、診療日に装着予定の装置が届いていないなどのミスがなくなります。
歯のクリーニングや虫歯のチェック等も行います。当院では、クリーニングは最低2ヵ月に一回は矯正治療時に行い、虫歯のチェックを行い、少しでも虫歯の疑いがある場合、矯正医ではなく、虫歯治療専門の歯科医師がチェックするようにしています。
診断の時に説明される内容は沢山あります。なかなかご理解、覚えているのは難しいです。話を聞いて契約書にサインはしたけど、内容が確かめられないようでは不安が残ります。
治療に入る前の検査の説明のことを”診断”と言います。これには、症状の説明とどのように治療するかという治療計画が含まれています。患者様がきちんとご理解してご契約されるよう、十分な説明と同意が必要です。この段階で治療に進まれなくても構いません。
矯正治療のよくあるトラブルの一つに、「当初説明を受けた治療期間・費用が違う」という事があります。書面に残し契約書が有れば安心です。
矯正治療は、自費治療ですので各々の医院で治療費が異なります。
ただ、適正な治療費ではないと良い治療は行えないと思います。矯正治療費には、矯正医の研修費・材料費・技工代・設備費・人件費等が含まれています。適正な治療費ではない場合、何かしら(人件費、材料代、設備など)を安く済ませています。
以前は聞かなかった矯正医院の倒産が、私が知っているだけで、ここ1年で4件東京内で起こっています。
また、矯正学を学んでない一般治療の先生が行う安価なマウスピース矯正(インビザライン)・小児の取り外し可能なマウスピース型矯正(拡大床・プレオルソ等)・前歯だけの部分矯正はお勧めしません。上手く治る事もありますが、治らない時は、別の医院に行って一から治療をする必要があり、結局は、高額になってしまいます。
適正な治療費(調整料を含む) | |
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表側矯正 | 80~120万円 |
裏側矯正 | 120~160万円 |
マウスピース矯正 | 80~120万円 |
小児矯正(第Ⅰ期治療) | 35~60万円 |
矯正医院では、通常、お口の写真だけではなく、お顔の写真も撮ります。良い歯科医師の条件と言われると、ある程度のレベル以上の歯科医師は「治療の写真を撮る」と言う事が多いです。歯や歯肉の色、形、顔とのバランスを把握するには、写真が一番良い資料です。それによって、適切な診査・診断を行えるとともに、医院の全スタッフと患者様が治療計画・内容を共有するのにも役立ちます。
また、レントゲンも治療をする上では重要な資料です。特に、矯正医院ではセファロというお顔の横のレントゲンを撮るのが一般的です。
治療開始時のみ撮る医院はお勧めできません。治療中でも定期的に写真を撮る事により、治療前・治療中・治療後の状態の把握、将来的な変化への対応ができます。
当院では、治療中の写真は、患者様が帰られた後(診療後)に見て、今後の治療方針を検討して次回の診療時に行う事をカルテに記入しています。また、パノラマレントゲンで は、動かした歯が綺麗に並んだだけではなく、歯の根も綺麗に並んでいるか(根が平行になっているか)確認して、並んでいない場合は、装置(ブラケット)を付け替えます。セファロレントゲンでは、横から見た歯の動き、口元の変化を確認しています。
他の病気でも再検査をするように、矯正治療においても再検査・再診断が重要です。
転院される場合にもこれらの資料があれば、転院先での治療もスムーズにできます。
最近では、当院の様に○○歯科・○○矯正医院と標榜する歯科医院も増えています。一つの医院で虫歯治療・抜歯・矯正治療もできる医院です。
治療中には虫歯、歯肉炎、抜歯等、一般歯科医との連携が不可欠です。矯正医院側で紹介先がない場合、患者さんは自分で一般治療の歯科医院を探さないといけなくなります。
矯正中の虫歯治療は可能ですが、ワイヤーを外さないと治療できない場合も多く、治療の流れとしては
① 矯正医院でワイヤーを外す
② 別の歯科医院で虫歯を治療する
③ 矯正医院に戻り、ワイヤーを再度装着する
これらを1~2日でしないといけません。
また、矯正治療を始めるにあたり、抜歯が必要な患者さんは、別の歯科医院で抜歯をする必要がありますが、予約が取れず、治療開始まで3ヶ月以上かかってしまう場合もあります。信頼できる一般歯科医との連携治療がきちんと出来ている矯正医院を選ばれるのも重要なポイントです。
当院では、一般治療も行っていますので、基本的な治療は当院のみで可能です。日曜日には、口腔外科の歯科医師も出勤していますので、難しい親知らず、埋伏歯の抜歯、舌小帯の切除など当院にて可能です。
当院で診療できない治療(インプラント・顎関節症など)は、東京医科歯科大学、東京歯科大学等にご紹介させて頂いてます。
最近、「矯正治療は痛いですか」というご質問がよくあります。矯正治療で痛みがない治療はないです。ただ、長い間世界中でされている治療ですので、患者様が我慢できず、痛みを理由に治療を途中でやめられる事はないです。ただ、装置によっては、痛みが強い物もありますので、使用する前にメリット・デメリットをご説明してご判断頂きます。
また、「治療終盤で上下の前歯の真ん中を完全に一致させたい」というご希望が多くなってきています。最善の努力はさせて頂きますが、元の歯の位置、上下左右の歯の大きさ・上下顎の位置関係などの問題により、完全に一致しない事もよくあります。
当院では、ご契約時にご説明して、ご契約書にも記載していますのでご了承はして頂いてますが、「どうにかならないか」とおっしゃられる患者様もいらっしゃいます。
例えば、右の写真は当院で矯正治療を終了された患者様の写真ですが、上下の真ん中は一致していると思われますか?よく見ると、微妙に上の真ん中に対して下の真ん中は右にずれています。
矯正時に起こりうる副作用を記載した書類も、本日お渡し致しますので、よろしければ一読して頂ければと思います。沢山ありすぎて、矯正治療をされるのを躊躇されてしまうかもしれませんが、「治療後に知っていれば矯正治療をしなかったのに」と思われるよりは、知っておいて始められる方が明らかに良いと思います。
私が考える起こりうる副作用順です。
a. 痛み
b. 三角空隙(ブラックトライアングル)
c. 後戻り
d. 歯肉退縮
e. 歯の根の吸収
f. 詰め物の破損・作り替え
g. 歯の白濁(ホワイトスポット)
h. 顎関節症
l. 成長による噛み合わせの変化
k. 歯のクラック
l. 歯髄壊死
矯正治療をされたら、必ず起きてしまう事ではないのですが、残念ながら、起きてしまう副作用です。もちろんこれらが生じないよう矯正医は歯を動かしてはいるのですが、経験した事がない矯正医はいないと思います。経験を積んだ矯正医でしたら、感覚的にどの副作用が起きてしまう可能性が高いかを患者様にお伝えできると思いますが、はっきり申し上げて正解にはわかりません。もし、当院で治療をされる患者様は、記載された内容を充分ご理解の上、治療を開始して頂ければと思います。ご不明な点がございましたら、検査・診断時にご質問下さい。
矯正治療は、長期間かかり、治療費も一部先払いにしている医院が多いです。従って、治療される医院が倒産したり、あるいは先生が病気になったら、どうなるのか不安に思われる患者様もいらっしゃいます。歯科医院は、普通に診療をしていれば、まず倒産はしない業種です。しかし、病気は避けられません。一般的には、骨折するようなスポーツはしませんし、風邪も引かないように注意している歯科医師は多いです。実際、骨折をした開業医を私の周りでは聞いた事はありません。ただ、避けられない病気になってしまう事があり、1人で診療している矯正医院の場合、治療が中断してしまいます。大病の場合は、最悪閉院になります。
このような理由から2人以上矯正医がいる医院の方が安心だと思います。
また、矯正治療についても、院長だけの治療方針だけで診療するより、何人かの矯正医と相談しながら治療をした方がより良い治療ができると考えています。
当院では、特にご希望がなければ、1人の矯正医が治療をするのでなく、別の矯正医にも定期的に治療をさせて頂くようにして、治療の共有・治療方針の確認を行い、より良い方法がないかを、矯正医で相談しています。
一つの矯正医院が順調に患者様が増えてくると、別の地域由で、もう一医院開業する矯正医がいます。2医院までは良いのですが、更に医院を増やすと院長が管理できなくなり、分院長任せになる傾向があります。分院長の矯正医としての実力はわかりませんし、治療が始まったばかりなのに、分院長が退職する可能性もあります。
そればかりではなく、矯正医院の経営(人材確保など)はやや難しく、患者様が少なくなると、医院を統廃合してしまう事もあります。倒産した4医院のうち2医院は多店舗展開していた矯正医院です。歯科医院は、他業種より設備費と人件費がとても高額なのと離職率が高いので、多店舗展開は難しい業種だと思います。例えば、診療の椅子は一台400万円、レントゲン装置は2,000万円、光学印象は600万円します。
矯正治療は期間がかかるだけでなく、一回の治療時間もそれなりに必要です。患者様の装置と歯の全体的なクリーニングをして、虫歯や歯肉の状態をみて、装置の調節をして、説明をして帰られるまでに最低15分はかかると思います。あまりにも忙しい医院ですと、どこかを省略して時間を短くすることになります。その日にやるべき事を省略しがちになるので、治療もなかなか進まなくなり、治療期間も伸びる事になってしまいます。また、予約診療にもかかわらず、毎回30分以上待たされる医院も問題があるのかもしれません。
当院でも、ご予約時間から診療できるように努めていますが、痛みがある患者様(急患)の予約が入ったりすると、20分ほどお待ち頂く事はあります。そのような時には、その旨をカルテに記載して、次回来院時にはお待たせしないようにして、なるべく皆様の待ち時間も平等になるようにしています。
「予約は取り易いですか?」というご質問も良くあります。正直申し上げて、土・日曜日、平日の18:00以降は、ご希望される患者様が多いです。矯正治療は、1ヶ月~2ヶ月に一度の診察が多いので、通常ですと診療後にご予約を取られて帰られるので、ご予約に問題はないと思います。ただ、ご予約日の数日前にキャンセルされると、土日と18:00以降ですと2~3週間先になってしまいます。これは、全ての矯正医院に当てはまります。もし、ご希望通りにいつでもご予約が取れる事を重要視される患者様は、開業して1年以内の矯正医院(患者様数が少ない)をお勧めします。
矯正治療のもう一つの問題は「後戻り」です。「後戻り」とは矯正治療で綺麗になった歯並びが、少しずつ動いてがたがたになってくる事です。患者様の周りにも以前矯正治療をしたけれど、段々歯並びが悪くなってきたという人がいらっしゃると思います。矯正治療 の技術(特にマウスピース矯正・矯正用アンカースクリュー)は進歩していますが、「後戻り」の問題に関しては全く進歩せず解決していません。余談ですが、矯正の研究は「後戻り」分野にもっと力を入れて欲しいと思っています。
「後戻り」を防ぐには、保定装置(リテーナー)を治療後にお渡しして使用して頂きます。保定装置には、主に3種類あります。
① クリアリテーナー(マウスピースタイプ)
② 床タイプのリテーナー
③ Fixリテーナー(針金を歯の裏側に貼るタイプ)
どのタイプを使用するかは、医院によって異なり ます。使用時間も1日中・就寝中だったり、期間も2~3年・10年・一生など様々です。私が読んだ本には、保定装置の使用期間は動かした期間と書かれていました。
どんなに上手な矯正医が治療を行なっても「後戻り」は起きてしまいます。それを防ぐには、保定には歯の裏側に針金を貼るタイプがベストだと考えています。実際、下顎の前歯には7割、上顎の前歯には3割ぐらいの矯正医は針金を貼るタイプの保定を行なっていると思います。ただ、歯磨きのしにくさ、舌感を考慮してこのタイプの保定を使用しない矯正医もいますが、少しでも後戻りを起こさせない為には必要だと思います。
東京都は、他県に比べ、矯正治療を行なっている歯科医院がとても多いので、医院を選べるメリットもありますが、逆に何件も相談に行き、色々な説明をされて、どの医院で始めればいいかわからなくなってしまうデメリットもあります。ドクターショッピングはお勧めできません。多くて3件だと思います。
「歯を抜かない治療をご希望をされた」患者様が、全ての矯正医院で難しいと言われたのに、1医院だけできると言われて、その医院で始められ、治らなかった事や、「痛みがない矯正治療をご希望された」患者様が、痛みがほとんどない矯正治療ができると言われ、その医院で矯正を始めたらとても痛かった事などがあります。
ほとんどの医院で説明された事は正しいので、何件も相談に行き、他の医院で難しいと説明されたが、ご希望の治療方法・期間・治療費でできる矯正医院を見つけ治療を始められるのは注意して下さい。
上述した1~19の条件をすべて満たしていても、相性が合わなかったり、全く別の観点で選びたくない事も起きると思います。その場合は、ご自分の気持ちを最優先される事をお勧めします。矯正治療は、長期間かかるので、相性の合わない矯正医院での治療は難しいと思います。
最後になりますが、矯正治療が上手くいく為には患者様のご協力も大切です。指示通りに装置を使用したり、治療間隔を守ったり、無断キャンセルをされない等が、治療をスムーズに進める上でとても大切です。
信頼できる矯正医院を見つけて頂いて、矯正治療をして良かったと思って頂けたら幸いです。
〒116-0003 東京都荒川区南千住4-7-1 BiVi南千住2階