東京都荒川区南千住4-7-1 BiVi南千住2階 南千住駅すぐの矯正歯科
まずは、以下の二つの細胞を覚えて下さい。骨芽細胞と破骨細胞です。
歯の周りには、歯槽骨という骨があります。健康な状態では、歯と歯槽骨は、結合していません。
歯と歯槽骨の間には、歯根膜という繊維があり、クッションの役割をしています。この繊維は、シャーピー繊維と言われ、血管が豊富にあります。 歯を移動させると、押す側を牽引側、押される側を圧迫側と言います。
親知らずを抜くと、そこは抜いた歯の形の穴になり、ご飯粒がよく詰まったりします。時間が経つと血液が固まり、その塊が骨になります。
この治癒過程は、すり傷の治り方と似ています。すり傷ができると、出血します。そのうちに、血液が固まり、出血が止まります。その塊が、かさぶたになり、気がつくと皮膚が再生しています。
歯を動かす過程で、歯槽骨が再生するのは、これと同様で、その役割を担うのが、骨芽細胞です。異なるのは、歯を動かす過程で、歯槽骨を吸収しないといけないという事です。この役割を担うのが、破骨細胞です。
圧迫側では、歯根膜内の血管が潰れ、出血が起きるます。その血液が破骨細胞になります。一方、牽引側では、血管が伸びて出血が起こります。その血液が骨芽細胞になります。
下のイラストのように、木を移動させる事を想像して下さい。気を移動するには、まず移動させる方の土を掘らないといけません。この掘る仕事を、歯の移動では、破骨細胞が行います。
木を移動させると、元の木があった所は、穴になります。その穴をそのままにしておくと、木は倒れてしまうので、土を盛らないといけません。この盛る仕事を、歯の移動では、骨芽細胞が行います。
では、マクロファージは、何をするかといえば、穴を掘っていると、その中に固い石があった時に、その石を取り除く仕事をします。
歯の移動では、圧迫側に硝子様変性という事が生じてしまう事があり、歯槽骨内固い物資ができ、歯の移動を阻害します。マクロファージは、その変性を消滅する仕事をします。硝子様変性は、網様委縮に伴って生じることが多く、神経や血管の周りに、硝子質が沈着して、その名の通り、ガラスのようなツルツルとした外観を呈するようになります。
このような骨の吸収と形成を骨のリモデリングといいます。
このリモデリングが生じる時間が、歯の移動に関係していると思います。
傾斜移動(けいしゃいどう) 傾斜を伴う歯の移動のことです。歯根の先から三分の一程度のところを中心にして傾斜(回転)します。歯列矯正においてもっとも起こりやすい移動で、上の前歯が唇側傾斜、出っ歯の患者様を治療する時にかける力です。 |
歯体移動(したいいどう) 歯を傾平行移動することです。傾斜移動とトルクを同時や交互に行います。小臼歯を抜歯した後、その隙間び歯を移動させる時に行う移動です。 |
挺出(ていしゅつ) 歯が歯槽骨から抜く方向に移動させることです。歯肉も同時に移動するので、歯が長く見えるようには、なりません。 |
圧下(あっか) 歯が歯槽骨に押し込むように移動させることです。物を動かすには、支点が必要で作用、反作用が生じます。釘を打つより抜く方が簡単なように、歯も圧下は難しい移動です。圧下させようとすると、支点である歯が挺出してしまうからです。 |
回転(かいてん) 歯を回転させる移動のことです。捻転(ローテーション)している歯を治療する時にさせる移動です。 |
トルク 歯冠を中心に傾斜(回転)させる移動です。下図に示すように「ブラケット」と「断面が長方形のワイヤー」を組み合わせる事によりトルク、歯をひねる力をかけます。断面が正方形、長方形のワイヤーの事を「角ワイヤー」といいます。 |
1か月約 0.4~最大1mm動くと言われています。
ただ、実際の歯の動きは、毎月1mmずつ動く歯もあれば、なかなか動かずに3か月後に急に動き始める歯もあります。
また、取り外しができる装置も効果が出てくるまでは時間がかかります。
これは、中学校3年性で学ぶ、「等速直線運動」と「等加速度直線運動」と似ています。
等速直線運動
等速直線運動は、物体が一定の速さでまっすぐ進む運動のことで、速さが変化しない運動です。速さが変化しない為には、物体には力が働いていないことが必要ですが、抑える力が働いている場合、押す力が必要です。時間と移動距離」のグラフは以下のようになります。
等加速度運動
等加速度運動の代表例は、りんごをある高さから、静かに手を離して落下させたときの動きです。
物体の速さは時間に比例して速くなります。
「時間と移動距離」のグラフは以下のようになります。
等速度直線運動は、一定の速度の動きで毎月同じように動きます。
等加速度運動は、最初はゆっくり動き出し、徐々に速度をあげて動きます。 ブラケット治療のような歯のがたがたが治っていく動きは、等速度直線運動に似ています。
特に、インビザライン治療では、アライナー一個で0.25mmずつ移動させるように設計されていますので、設計通りに歯が移動するならば、完全な等加速度運動となります。 拡大床やヘッドギアのような取り外しができ、顎骨に作用する動きは、等加速度運動に特に似ていると思います。取り外しができる装置では、最初動きが悪いので、そこで、使用しても効果がないと諦めずに、使用を続けて頂ければ、後から効果が出てきます。 使用を継続して頂くことが、とても重要です。
感覚としては、15歳ぐらいまでの方が明らかに、歯の動きがいいです。
平均的には、15歳までに始められると半年は治療期間が短いと思います。
また、矯正治療には、動かした歯が元に戻ろうとする後戻り(リラプス)の問題が必ずありますが、早く治された方が、後戻りを起こりにくくなります。
例えば、上の前歯は8歳ぐらいで生えますが、よく起こる不正咬合に翼状捻転(ウインギング)があります。20歳で治されると、12年間、翼状捻転している事になります。
その場合、歯を支えている歯槽骨、シャーピー繊維(歯と歯槽骨をつなぐゴムのような繊維)などが、硬くなり、後戻りを引き起こしやすくなります。 萌出してすぐ治せば、それらも柔らかく、早く改善して、後戻りを起こしにくくなると思いませんか。 傷の治りも若い時の方が、早く治るのと同じです。
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